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「緊張しちゃダメ!」はNG。世界を経験したサンロッカーズ渋谷・杉浦佑成が実践する、試合で力を発揮するためのメンタルトレーニング

2017ー18シーズンでは激戦の東地区を戦い、Bリーグチャンピオンシップ進出を逃がしたサンロッカーズ渋谷。それでもレギュラーシーズンを3連勝で締めくくり、来季に向けて弾みのつく勝利を飾った。そんなチームの中には、将来の日本代表が期待される一人の有望プレイヤーがいる。196センチの高身長を誇るスモールフォワード(SF)、杉浦佑成だ。昨年1月に、プロスポーツでは異例の大学3年からの特別指定強化選手となり、いち早くBリーグの舞台を経験。同年12月には本格的に契約を結んでプロとして試合を重ね、着実に成長を見せている。このインタビュー前編では、これまでの道のりを振り返るとともに、試合で最大のパフォーマンスを引き出すために実践しているというメンタルトレーニングについて訊いた。

ไอคอน 1482131451808Sato หลัก | 2018/08/23
ーまず、杉浦選手のバスケを始めるきっかけを教えてください。
 
杉浦:実は、僕はもともとバスケをやりたくなかったんです。
 
小学生の頃はサッカーと水泳をやっていたのですが、たまたま当時流行っていた野球漫画「メジャー」を読んだ影響で、「野球を始めたい!」と思うようになりました。
 
でも、母親と姉がバスケをやっていて、加えて親戚にもバスケ関係者が多かったこともあり、野球をやらせてもらうことができなかったんです。
 
「バスケならいいよ?」みたいな感じで(笑)。
 
それに当時は少し太り気味で、さらにブクブク太り始めてきていたので、何か運動をして痩せるためにもバスケを始めてみることにしました。
 
本格的に始めたのは中学校の部活からですね。
 
ー杉浦選手の家系はバスケ一家だったのですね。はじめは嫌々始めた感じだと思いますが、バスケを真剣に取り組むようになったきっかけは何だったのでしょう?

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杉浦:まず、僕が入った東京の世田谷区立梅丘中学はバスケのレベルが高い学校だったので、バスケ部の中に初心者は僕しかいなかったんですね。
 
やはり上手い人ばかりに囲まれていたので、はじめは「嫌だなぁ…」って、部活にいること自体がつらかったんです。
 
ただ、僕は小学生を卒業する時点で身長が180センチあって、中学3年には190センチまで伸びるくらい周りと比べたら本当に大きかったんですよ。
 
他の人には技術面で劣っても、身長という武器があった。なので1年生の秋から少しずつ試合に出させてもらえる機会が増え、それからバスケが楽しいと思えるようになったんです。
 
実際に試合に出ることで、技術の面でも上手くなっていく感覚がありましたし。自分が上手くなっていく感じが嬉しかったので、徐々にバスケと真剣に向き合うようになりました。
 
ーやはり、試合に出られる喜びはひとしおですよね!高校に入ってからはいかがですか?
 
杉浦:高校は、福岡のバスケットボール名門校である福岡大学附属大濠高校に入学しました。
 
成績としては、1年時にインターハイベスト8、ウィンターカップ4位を経験し、3年生の時にはインターハイベスト4、そして国体とウィンターカップで準優勝することができました。
 
それに加えて、2011年にはU-16日本代表に呼んでいただき、さらに2013年にはU-18日本代表としてプレーさせていただいたんです。
 
また、U-16・U-18の時には同じく代表として選出されていた馬場雄大選手(アルバルク東京)と仲良くなり、今でも友人として親交は深いですね。
 
ー馬場選手とは筑波大学でも一緒にプレーされましたよね。
 
杉浦:そうなんです。筑波大学に入ったのも、馬場選手と「同じ大学でプレーしたいね」っていう話をしていたことがきっかけだったので(笑)。
 
ーそうだったんですね(笑)。杉浦選手は筑波大学に進学後もインカレで3連覇を果たすなど活躍されて、2017年の1月に特別指定強化選手としてBリーグのサンロッカーズ渋谷に入団されました。今振り返ると、プロとアマチュアの違いに関してどのように感じましたか?

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杉浦:特に感じた大きな違いは、どのチームにも外国籍選手が所属しているということです。
 
試合で対戦するにしてもフィジカルの強さを感じましたし、チームメイトとして接するにしてもコミュニケーションを取る難しさを痛感しました。
 
今まで外国籍選手と一緒にプレーしたことがなかったので、その辺の戸惑いが一番大きかったですね。
 
それに外国人だけでなく、日本人含めてチームに所属する選手の年齢層が広かったので、自分と年齢が離れた選手とのコミュニケーションの取り方はもう少し考えなきゃいけないなと感じました。
 
というのも、大学だったら一番年齢が離れても1年生と4年生で3歳しか違わないので、慣れてきたら先輩後輩関係なく友達のように接することもあるんですね。
 
でも、大人たちが集まったプロの世界ではそうはいかないので。
 
ー確かに、誰でも社会人になりたての時は先輩とのコミュニケーションは苦戦しますよね。では、実際にプロの世界を経験して、何か得たものはありましたか?
 
杉浦:プロがどんな世界なのかっていうイメージは持つことができました。
 
所属期間がたった3ヶ月だったので、右往左往している間に時間が過ぎてしまった感じはありましたが(笑)。
 
でも今思えば、大学生の間にプロの大変さを知れたっていうのは、かなり大きかったと思いますね。
 
ーこれからプロにいくのであれば、その世界を経験するのは早いに越したことはないですしね。同年の12月には再びサンロッカーズと契約を交わしてプレーされましたが、プロの世界を知らなかった前回と比べていかがでしたか?

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杉浦:今回がBリーガーとして本格的な参戦だったので、ようやくチームの一員になれたという感覚はありましたね。
 
ただ、2017ー18シーズンは23試合出場させていただいたんですけど、自分の中ではあまりチームに貢献できなかったんです…。
 
チームの一員になれたという思いがあるからこそ、昨シーズンの成績は悔しかったですね。
 
ー課題を挙げるとしたら、何でしょう?
 
杉浦:特にディフェンスですね。もちろん、それ以外のスキルに関してもまだまだなので、全体的に向上していかないといけません。
 
ただ、それ以前に余裕が全くないんです。まだ1年目ということもありますが、早く試合中も堂々と、自信を持ってプレーできるようにしていきたいです。
 
ーなるほど、ありがとうございます。杉浦選手は7月、チャイニーズ・タイペイにて開催された「ジョーンズカップ」で日本代表メンバーとして参戦してきましたよね?世界のチームと戦ってみていかがでしたか?

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杉浦:チームとして、世界との差を感じましたね。
 
いろんな選手がいますし、国によってプレースタイルも異なるので、その辺の対応は難しかったです。
 
ただ、僕らのチームと比べて一番感じた違いは、国を背負って戦っているという責任感。そして誇りです。
 
これは試合を通じて感じたのですが、やはり自分が育ってきた国の代表ですし、それゆえ絶対に負けられないという認識の中でプレーしていました。
 
僕らには、そういった強い想いみたいなのは足りなかったように思えます。
 
ージョーンズカップは若手中心のメンバーということもありましたからね。代表の中ではBリーグの様々な選手と一緒にプレーされたと思いますが、その中で刺激を受けた部分もあるのではないですか?
 
杉浦:確かに、めちゃくちゃ刺激は受けましたね。
 
やはり年代が近いっていうのがあるので、「負けたくない!」っていう気持ちは強かったです。
 
それに大学時代には知らなかった選手も何人かいて、「こんなに上手い選手がいるんだ!」って驚きました。
 
自分が知らないところでも、Bリーグには同世代で有望選手がたくさんいることに気がついたので、自分もさらに頑張らないといけないなと。
 
ー同世代の存在は大きいですよね。これまでもU-16・U-18の選抜、そして今回のジョーンズカップと、何度も世界の舞台を経験されてきましたが、精神的な部分での成長は感じますか?

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杉浦:まだまだです。それ以前に、僕はメンタルが崩れやすいタイプなんですよ。
 
これはバスケに関わらず、何か失敗してしまうと「あ〜、ダメだ…」ってすぐに落ち込んでしまうんです(笑)。
 
なので大学時代、心理学の授業を受けていたので、そういう人間の精神的なことについてはよく先生に聞いていました。
 
ーそうだったんですか。大学で心理学を勉強して、何か実践していることはあります?
 
杉浦:ありますよ。まず、緊張って誰でもしますよね?
 
その状態になると、緊張しないように試行錯誤したり、「緊張しちゃダメだ!緊張しちゃダメだ!」って言い聞かせたりする人もいると思うんです。
 
ですが、僕が実践していることは逆です。
 
自分が緊張していることに気づいたら、「あ、いま緊張してるんだな」って心の中で自分に言い聞かせるようにしています。
 
緊張しすぎて緊張に気づかない、という状態は冷静じゃない証拠ですから、まずは自分が緊張している状態を把握することが大切です。
 
それにどうせ、緊張ってすぐに解けるものではないですし、逆に緊張を打ち消すことばかりに気を取られていては、結局いいパフォーマンスなんて発揮できません。
 
なので、はじめに緊張している状態を把握したら、続けて「緊張しているなりに上手くいけたらいいや」って、いい意味で開き直るようにしているんです。
 
緊張している精神状態の中で、いかに最高のパフォーマンスを引き出せるか。そういう考え方の方が、僕の中では合っているかなと思いますね。


<インタビュー後編はこちら>


文・写真/佐藤主祥

取材協力/サンロッカーズ渋谷


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